大好き7終

黄粉  2008-05-21投稿
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静かになった理科室の中、愛菜は一人立ち尽くしていた。

どうしよ・・・

私、刑務所に入らなきゃダメだよね・・・やだ・・・

恐ろしさと不安が膨れ上がるばかりで、愛菜はパニックになっていた。

ギィ・・・

「!!」

誰かが理科室の扉を開けた。

見覚えのある長い髪が見えた。

「何これ!うぅ・・・っ臭い!」

七海だった。生臭さに耐え切れなくなり、鼻を塞いでいる。

「七海・・・!」

愛菜は自分の犯した罪を友人に見られ、泣きたくなった。

「愛菜・・・!まさかコレあんたがしたの!?」

七海は廊下に向かおうとした。恐らく教師に報告しに行くのだろう。

「やめて!」

愛菜は走った。視界が階段に変わった。

「・・・きゃあぁっ!」

ズダダダダダッ

階段から落ちたらしい。体が所々痛む。

そして、横には七海が倒れていた。

「七海・・・!」

七海は動かない。腕は変な方向に曲がり、目からは血を流していた。

「うわ・・・!」

田口がいた。田口は、返り血で赤く染まった愛菜の制服を見て後ずさった。

「違う・・・!私、階段から落ちて・・・」

「来るな・・・!」

田口は愛菜の手を振り払った。

廊下には静寂しかなかった。そして、悲しみ。

愛菜は俯いて、話し始めた。

「田口、私が田口の事好きだったの知ってた?」

「え・・・?」

愛菜は、お伽話を聞かせるかのように、田口に話しかける。

そして、悲しい表情に変わった。

「・・・でも、田口に嫌われたら意味ないね。」

愛菜は素早くポケットからビーカーの破片を取り出し、首筋にあて、引いた。

「やめろ!」

愛菜の首筋から、鮮血が吹き出した。

「田口も皆も、大好き。」

首を切ったのにも関わらず、愛菜は喋っていた。


その表情は、哀しく微笑んでいた。


廊下には、愛菜の血の海ができていた。







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