「へぇ〜じゃぁおじさん帰って来てるんだ。」
「いや、昨日電話したら、今はニューヨークの支社にいるって言われた。これから外国の支社とかを回って現状視察するんだとさ。」「社長さんも大変だね。」春姉も馴れたもので別段驚いていない
「でも、調査表って保護者のサイン必要でしょ?どうしたの。」
「秘書の人に代筆してもらった。」
「あぁ成程ね。」
納得納得と首を小さく縦に降る。
「それじゃお姉ちゃんは仕事に戻るから。寄り道せずにまっすぐ帰るんだよ。」と去ってった。
代筆してもらったことに驚かないとは、なんとも器がでかいというか鈍いというか。
「鈍いな。」
急にに後ろから声ががして大きく飛び退いた。
「まったく、麻生グループの御曹司がこんな様でどうする?今のが敵特殊部隊だったらどうするつもりだ?」
やれやれと林田は肩をすくめる。
「驚かすなよ、オイ。」
今のはマジで驚いた。
「それはこっちのセリフだ偶然通りかかってみれば貴様が梅津会長を泣かせている現場ではないか。」
コイツそんな時から見ていたのか。
取り合えずややこしくなる前に俺と春姉の関係とさっきの経緯をはなしておこう――――――――――――――――――数分後―――「だいたい理解した。」
ホレ、と何か投げつけてきた。なんだこれ?ビデオテープ? 「そうと分かればこんなもの要らん、まったく人騒がせな。」
って何撮ってんだよコイツは。
「誤解したのはそっちだろうが!」
「何にせよこれでパイプは確保した、やっと行動に移せる、まったく棚からボタモチとはこのことだ。」
なんかぶつぶつ言ってて聞いてない、こういう時コイツは危険だ、話かけたらこっちが怒られそうだ、触らぬ神に祟りなし、今のウチに帰っちゃえ。今思えばこれが人生最大のミスだったのかもしれない。