『奈央ちゃん、ちょっと此処で待ってて。』
サトル君は、そう言うと、二台の車に向かって走って行き、
そのうちの一台の運転席側に回り、何やら話している。
バン―――\r
運転席側のドアが開き、黒の革ジャンに革パンという、全身黒ずくめの、長身の男性が車から降りた。
身長は、聖人より少し低い位かな。
その長身の男性は、もう一台の車に向かって、何やら手で合図した。
すると、もう一台の車から、今度は黒のスーツ姿の男性が降りて来た。
それを見ていた聖人が―\r
『奈央、行くぞ。』
聖人は、あたしの手を引き、その二人の男性の前に連れて来てくれたかと思うと、あたしを紹介してくれた。
『新谷先輩、大沢先輩、俺の彼女です。』
ドキドキドキドキ――
ひゃあ‥‥き‥緊張する‥‥‥。
見た目怖そうな男性二人を前に、あたしの緊張は、ピークに達していた。
『‥き、木下 奈央です。
今日は‥あの‥‥よ、よろしくお願いします!!』
声が上擦っちゃった。は、恥ずかしい‥‥‥。
その時―\r
聖人は、あたしの手をゆっくりと握ってくれた。
目の前の男性二人に気付かれない様に―\r
聖人に手を握られたら―\r
あたしの心臓のドキドキが少し落ち着いた――