6月20日
梅雨も終わり、夏へと向かう、昼下がりの午後であった。
叫声が響き渡る。そこは先程まで、どこにでもある公園の風景だった。子供たちが砂場でじゃれあい、駆け回る。しかし、今は母親が必死の形相で子供を抱え上げ、出口へと逃げていた。
死にたくない、死なせたくない、二つの感情が交錯していた。
公園の中心に位置する、噴水広場、そこには一人倒れる男と、一人立ち尽くす男。
一瞬、何かあったのだろうか?と思うような風景。
だが違う。そうじゃない。
立ち尽くしていた男は、手に鈍く黒光りする鉄の塊を持っていた。スミス&ウェッソン。日本の警察官の標準装備の拳銃である。
彼は、それを倒れる男に向ける。銃口を頭部にてロックオン。発射した。
空気の乾いた音が破裂する。
男の頭部は西瓜のようにはぜわれ、脳症がドロリと零れ落ちた。水に溶けないのか、脳みそは水面を漂うだけだ。
カチリと激鉄が納まる。全弾うちつくしたが、彼は一向に引き金を引くのを止めようとはしない。
一体この男は、彼にどれほどの恨みを買ったというのだろうか?
パトカーのサイレンが遠くから鳴り響いている。どうやら、誰かが通報したみたいだ。