ゴトン、ゴトン
俺は電車にゆられながらふと―思う…
いつからこんなことができるようになったのかと…
生まれたときから?
いや、ちがう…
5才で事故にあってから?
いや、そうでもない…あれは確か―ちょっとした好奇心から始まったものだったと思う。俺がまだ5〜6才のころだったろう、俺は風邪をひいて布団に横になっていた時だ、母さんが俺を看病してくれて俺に話しかけてくれた、何の話をしていたかは覚えてないけれど俺はふと思った…
母さんからは俺がどんなふうに見えてるんだろうかと。
そして俺は想像してみる、俺が布団の中に寝転がってるのを上から眺める風に…
俺はただそれだけのことしかしていなかったのだか、これが母さんの見ている景色だろうと勝手に解釈して、それが少し嬉しく、それから暇になると今他の人はどんな風景を眺めているのか想像していた。
前から歩いてくる人がいれば、だんだんと自分との距離が狭くなるのを想像し(これは以外と難しかったのを覚えている)自分の前を歩いている人がいればその人の視線にあわせたりしていた。
そんなコトを何年もしていたある日俺の目は少し―おかしくなった…