『じゃあ‥この前、大沢先輩のGT-Rに乗せてもらったばっかだし、今日は新谷先輩のスープラに乗ります。』
聖人が言った。
『おぅ。分かった。じゃ、サトル、俺のGT-Rに乗れ。』
大沢先輩はそう言うと、運転席側のドアを開けた。
サトル君も助手席に乗り込んだ。
『聖人。俺のスープラに乗るの、これで二回目だな。』
新谷先輩は笑いながらそう言い、
聖人とあたしを御自慢の車に乗せてくれた。
『奈央は助手席乗れよ。』
聖人は、後ろに乗り、あたしは助手席に乗った。
『聖人ォ、狭くねぇか?!ハハハ。
お前、デカいからな。』
『スポーツ車に三人はキツイっす。』
あたしが後ろを見ると、聖人が窮屈そうに収まっていた。
『可愛い彼女を、後ろの狭いトコ乗せる訳いかねぇもんな。ハハハ。』
『先輩、安全運転で頼みます。』
『ハハハ。何言ってんだ聖人。いつもバイクでポリ公おちょくってんのダレよ?!』
新谷先輩と聖人の会話を助手席で聞いてるあたしは、
何だかとても不思議な気持ちになった。
今まで知りたくてしょうがなかった、放課後いつも3-5で聖人とサトル君が話してた会話の世界―\r
男の子の世界―\r
その世界を、
あたしは今、見せてもらってるんだ。
そう思ったら、また胸がドキドキして来た。
それは決して、さっきの緊張から来るソレではなかった――