星の蒼さは 62

金太郎  2008-05-23投稿
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「アキ!どこ!?いるんでしょ!?」

整備員たちがドックで待機している為、誰もいない格納庫で美樹の声は響いた。

「アキ……どこ……?」

次第に心細くなってきた。誰もいない格納庫は一人でいるには広すぎる。
物陰も多く、薄暗い。

もう引き上げようか。

避難区画にいるに違いない。
勝手に判断して回れ右をする。

と、かすかな物音に身体が強ばる。

この静かな世界に何がいる。

唸り声のような、あえぎ声のような。
ただミサイルの影に誰かがいるのは間違いなかった。

「誰…?」

身構えながらそっと声をかけた。

返事はない。

「アキ?」

「ぅう……ッ」

果たして、そこにいたのはアキだった。

「アキ?どうしたのよ!」

顔に汗をかき、苦しそうに悶え、アキは涙を流していた。

「どうしたの、真っ赤!」

「わかんない…苦しくて、悲しくて…なんか涙が出てきた」

アキはやっと絞りだした。

「悲しい?なんで?」

「…わかんない…暗くなって…赤くなって…怖かった」

震えていたアキは、しかし、最後に笑顔で言った。

「でも…最後は蒼かった。暖かくて……気持ち良かったよ」



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