俺の住む小さな町には、都市伝説の"口裂け女"に類似した話し"五右衛門"が学生達の間で広まっていた。
その内容は、
雨の日の夕暮れに一人で歩いていると、「すいません」と後から弱々しい男の声がする。
振り返ると、身長2mあるんじゃないかという大男が、傘もささずにずぶ濡れで立っている。
ビックリして固ってると、その男はこう言うんだ。
「オイの姿はそんな醜いか?」
この時、男は顔を俯かせていて、しかもセミロング程ある髪の毛が顔にへばり付いていて、顔がよく見えない。
聞かれた人が、
「醜くない」と答えると、そいつは顔をユックリ上げて「これでもか〜!」とその恐ろしい顔を見せつけ追いかけてくる。
「醜い」と答えると、そいつは怒り狂い、鎌を振りかざして追いかけてくる。
と言う在来たりな物。
無論、そんな話しを信じてる奴なんて居なかったけど、俺が高2の夏にその話しに出て来る"五右衛門"を見たって言う目撃情報が多発した。
しかも、目撃される場所が決って駅裏の〇〇公園だった。
その公園ってのが、ちょっとイワク付きの気味悪い公園で、どういう訳か毎年夏になると、そこのトイレで自殺する奴が何人か出るんだ。
そんな訳で、この目撃情報の噂はすぐ広まって、それを確かめようと、毎日の様に学生達が夕方、この公園に集まっていた。
俺はそれを見て「ふんっバカくせぇ〜」と鼻で笑ってたんだけど、仲のいい友達BとCが「確かめ行こう」と誘って来た。
最初は嫌だと断ってたけど、「ビビってんだろ」と言われ、ムキになった俺は嫌々行く事になった。
俺達は、夕方行くのはムードが出ないからと(夕方は学生でごった返してたから)夜中行こうという事になった。
夜の10時過ぎに、3人集って公園に向った。誰もいないイワク付き公園は昼より何倍も不気味だった。
例のトイレの蛍光灯がチカチカと切れかけて点滅していた。
友B「もし五右衛門出たらどうするよ〜!!」
俺 「出る訳ね〜じゃん」
友C 「"よだそうしなは"って唱えたら消えるらしいぜ」
俺 「つ〜かそれ反対から読んでみ。五右衛門何て作り話なんだよ」
あーでもない、こーでもないと話しながら公園の中を歩き回って一周したが何も無かった。… 続く…