「ああ、つまらない」
 ふくらはぎ程まである切り揃えられた黒髪をはためかせながら、ノンはため息とともに吐き捨てた。
「ふふ、おもしろいね」
 肩の所で切り揃えられた銀髪を指でもてあそびつつ、イェアは無邪気に囁いた。
 なにが、など問うまでもない。
「ああ、世界はなぜこんなにつまらないのだろう?」
「ふふ、世界ってなんでこんなにおもしろいんだろうね?」
 二人一緒に、まるで打ち合わせたかのように呟いた。
 正反対のことを、
 正反対の彼女達が。
 鏡のように、
 影のように。
 二つなのに、
 一つのように。