とある中学校。
もうかれこれ15年は経つだろうか。
僕が中学3年生の時、夏休み明けで壁一面に習字の文字が貼り出されていた。
『自然の美』。
これがお題目だ。
ただし、一年生のお題目だ。
たまたま階下の先生に用があったため、一年生の廊下を歩いた。
そこに一枚の習字の宿題が貼り出されていた。
『然自の美』。
そう。間違えて書かれている。
しかも名前はブッカスカ瞳。
衝撃を受けた。
もちろん衝撃を受けたのは名前のせいでも無く題字が間違えているからでもない。
告白されたのだ。
彼女はベネズエラ人の父親と日本人の母親の間に産まれたハーフである。
偶然にも程がある。
僕もパキスタン人の父親と日本人の母親の間に産まれたハーフである。
とはいえ人にはタイプがある。
僕は断った。
それからだ。
おかしな出来事が増えたのは。
しかもあきらかに彼女のせいではない出来事。
その中でも一番衝撃的だった出来事は…
15年後に気付いた。
僕が6年前にバイク事故で死ぬ寸前だった時、病院に連れて行ってくれたのが彼女だったらしい。
全くの偶然。
その後結婚。
彼女の名前はゲキダン瞳になった。
ちょっと申し訳なかった。これからもよろしく。瞳。