三人が去った後。広場はしーんと静まりかえっていた。
ふっと何かが暗闇から現れる。薄く光る漆黒の鎧に身を包み白銀の髪をした騎士らしき男。
「あれが…ミホシと汚れた血か…」男は静かに呟くと少年を見た。
僅かに息が残っているらしく、苦しげに男に顔をあげる。
「サーナス…はぁ…はぁ…」
「ぶざまだな…豪語したわりにはあっけない…」腰に下げた二本の剣が闇に光る。
「つ、…次は…必ず…」
「ほぉ…次ねぇ…」白銀の髪をかきあげながら男は少年を見る。
「おまえは負けた。敗者には死あるのみ…」男が少年に向けて手を伸ばす。
「ま、待て…や、やめろぉぉ??」グシャッ。
「…ふっ…次はもっとマシなやつを…」男はそう言うと闇に消えた。
少年がいた場所は大きくへこみ、潰れていた。
三日後…
「あのぉ〜…かなり重いんですけど…」薄目の長袖にタシュラと呼ばれるズボン姿のユータが赤い眼鏡の女性に言う。
「文句言わない?あんたの精神が弱いから、刻印は完全じゃないからよかったのよ」
三日前に受けたユータの傷はたいしたことなく回復したが、エリナの傷はまだ癒えていなかった。そのため二人で看病しているのだった。