いずみ『あのー、開けます。』
あつし『………。』
ピーーーッ、カチ…開いた!
開けたドアの廊下のその奥には、シンプルだけどオシャレで高そうな家具が置いてあった。
芸能人の自宅ってやっぱり違うわ。ア然としちゃった。
とりあえず、彼の上着を脱がせてソファーに寝かせた。
眠ってる…グラサンかけたまま…
ふふっ…ちょっと愉快だった。
寝る時もグラサンなんてね。
でも…あつしが…
憧れていたあつしが目の前にいるなんて…ありえない。
でも、どこをどう見てもEXILEのあつしだ。
これは夢?
…ならまだ覚めないで。もう少しこのままで居させてね。
グラサンをゆっくり外してみようかな…緊張して手が震えそう。
心臓の音も聞こえちゃいそうで恥ずかしい。
そっと、グラサンを外した…。
ふぅ〜、あつしは寝ている。
テーブルにお水の入ったグラスを置いて、カードキーも置いて帰るかな…。
もっと部屋の中をみたい気もするけど、やっぱりよくないよね。
でも…このまま帰ったら…………。
あつしは起きたら私の事を思い出すのだろうか。私は考えてしまう。
きっと、たまたま通り掛かったのが私だっただけで、他の人がここへ連れて来たかも知れないし。
泥酔しすぎて何も覚えていないだろう。
切ないけどこのまま帰ろう。
私は未練タラタラでその場を離れた。
帰宅中、いろんな後悔が押し寄せてきた。
携帯の番号をメモして置いてくればよかったとか、
起きるまでいたら…とか、そんな後悔ばかりとあつしの事でいっぱいだった。
そして、夢のような出来事から1週間が経った…。
1話終了。