一時間が経過し、騎士達の顔は早くも厳しいものになっていた。
瓦礫を取り除いて可能な限り捜し続けているものの、生存者は一切確認出来ないでいたからである。
その中にあって、ロザラムだけは悠然と自らの剣で時々瓦礫を叩きながら、廃虚と化した町をじろじろと見回していた。
ラトは横目でちらちらとその様子を眺めながら、残留リムスの種類特定を進めていた。
しかし、一日経ってしまっている為か、瓦礫からそれを特定するのは困難な状態になってしまっていた。
まずい…このままでは、特定ができない…―\r
ラトは厳しい表情を浮かべて、歯ぎしりした。
それをちらりと見たロザラムは、
「ラト隊長、瓦礫では特定が出来ないでしょう。私に考えがあるのですが…」
と、薄笑いを浮かべながら、言った。
「それはどんな考えかね?」
「簡単な事です」
ロザラムはそう言って、遺体に向かって剣を向けた。「死体に剣を突き立てれば、容易に特定が出来ますよ」
「!」
ラトはその言葉を聞いて、一瞬、息を呑んだ。
周りにいる騎士達は、その言葉を耳にして、一斉にラトとロザラムの方を見た。「そ、それは…」
ラトは唇を噛みながら、ぐっと剣の柄を握り締めた。