昨日の橋本の言葉が頭を離れなかった。
明日学校で・・・。
気になって気になって仕方なかった。結果、寝不足になった。
眠くて学校に行きたくなかったかが、橋本の事が気になったので、行くことにした。
昨日、扉越しに聞こえた橋本のかすれた声。あの時、橋本は泣いていたのか?
しかし、今の裕也には分からなかった。
―――だが、それが今日わかるのだ。
裕也は、すっかり机の上で居眠りをしかけていた。
「田口、昨日眠れなかったのか?」
隼人が話し掛けてきた。しかし、裕也は無視した。今は誰とも関わりたくなかった。
「ん?田口、なんか一年の子が呼んでんぞ?」
一年?
「橋本麻里奈か!?」
裕也はあわてて起き上がった。
「うん。教室の前。」
隼人が指差した所に、橋本麻里奈がいた。
「橋本!」
廊下に出ると、橋本が立っていた。
「先輩、・・・昨日の話・・・、お話します。」
裕也と、橋本は、誰もいない校舎裏へと、向かった。
「で?なんなん話しって。」
橋本は、なんとなく泣きそうになっていた。
「私のが・・・、両親を殺したんです。」
裕也は息を飲んだ。
「お前、親から暴力受けてたから殺したのか?」
橋本は首を横にふった。
「知ってたんですか・・・まぁ有名ですからね。」
「橋本は親の暴力が嫌になって自殺しようとした。だけど、死ねなかったんだな?だから親を殺したんだろ。」
裕也は、知っているかぎりの、殺人にいたるまでの動機を話してみた。
「そうなんだろ?」
橋本は顔を上げた。
「違います。」
「え?」
「私は・・・」
それから橋本は、静かに語り始めた。