航宙機動部隊前史後編・2

まっかつ  2008-05-27投稿
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この様にギャームリーグ機動部隊は、補給品目の大半を敵(占領地)に頼っていた。
彼等が自力調達したのは、軍用艦艇や兵器の部品や特殊資材等に限られていた。
勿論これは略奪を意味する物では無かった。
彼等は物資の購入や船団の徴用に際しては必ず国債か後続軍票の形で、きちんと支払いはしていたのだ。
これは中々上手いやり方だった。
国債や軍票を持たされた側は、決済するまで経済的に占領軍に逆らえないからだ。
しかも、ギャームリーグが勝ち続ける限り、国債の価値は上がり続ける。
よって彼等も、それを支持せざるを得なくなる。

実際はこんなに単純に行く訳では無いのは言うまでもない。
侵略された側の反感や屈辱感を解決する方策にはなっていないからだ。
又、勝者特有の奢りからか、ギャームリーグ軍の調達活動がかなり強引を極め、それがしばしば現地勢力との衝突に及んだ事もあった。
特に民間の必要最低備蓄分や、ローカル企業の取引分にまで手が付けられた時の反発は酷かった。

だがそれでもギャームリーグ軍は中央域での補給には困らなかった。
彼等は強いだけでなく金払いも良かったからだ。
事実、銀河元号一五二五年度内に、彼等が購入・徴用で発行した国債や後続軍票の利子の支給や換金履行率は九四・六%と、極めて好成績だった。
履行が果たされていないケースでも、その八三・二%が手続き上のミスや業者サイドのトラブルやキャンセル、良心的受取り拒否が原因だったから、このシステムはほぼ百%成功したと言えるのだ。
様々の抵抗や妨害が有っても、大多数がそれに満足して協力している限り、だからギャームリーグが破綻を心配する必要は無かったのだ。

特に彼等が勝ち続けている限りはそうだ。
強大な軍事力を背景にきちんと利益を分配している間は、人々は独立への欲求よりも経済的営利活動を追求するだろう―\r
彼等の立てた読みは、見事なまでに的中していたのだ。

それでもギャームリーグ機動部隊は、一応は高速輸送艦を配備していた。
戦闘艦艇の部品や情報機材・正規の機動部隊要員は、軍機の関係もあり、流石に本国からしか調達出来ないからだ。
中央域に展開した全艦艇数の二割をこの高速輸送艦が占めてはいたが、機動部隊の強行軍に付いて行ける様、自己生産設備の無い貧弱な物で正しくただの輸送艦に過ぎなかった。

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