“すげぇ。おい、みんな見てみろよ!!あの二人、久々の勝負だぜ。”
“大沢先輩も新谷先輩には敵わないさ”
“直線ならやっぱりスープラか。”
“いや、大沢先輩のテクは上級クラスだぜ。”
あたしは、何時か見た映画の中のワンシーンを思い出した―――\r
スタートはストックスタート―\r
プレステージランプが点灯し―\r
ステージランプが点灯する―\r
スタータがスタートシグナルボタンを押し―\r
クリスマスツリーの黄色のランプが上から順に点灯し―\r
四つ目のグリーンシグナルが点灯する前の、三つ目のランプが点灯した瞬間に―\r
ブレーキ解除―\r
アクセル全開―――\r
『奈央!!見ろよ!!スタートするぜ!!』
二台の車が物凄い速さで、あたし達の前を通り過ぎた―――\r
“キャーッ!!新谷先輩――!!”
“大沢さぁ――んっっ!!”
“おらっGT-Rどうしたぁ――っっ!!”
“キャア―――ッ!!”
“うおぉ―――ッ!!”
更に過熱するギャラリー。
二台の車が―\r
ほほ同時にゴールした―\r
ゴールは僅かの差で、新谷先輩が速かった―――\r
『やっぱ新谷先輩には大沢先輩も敵わねぇよな。
なっ?!奈央。』
聖人があたしの顔を覗き込んだ。
『うん。でも大沢先輩も凄い速かったよ。』
『ハハ。奈央でもソレ分かる?!』
更に聖人に顔を覗き込まれ、ニコッて微笑まれた。
『わ、分かるよっっ!!』
思わずムキになってあたしが答える。
『いやぁ〜〜。おアツイ所、大変申し訳ないんですケド、
新谷先輩と大沢先輩がさ、“毛無し”行くぞってさ。』
さっきから横で、あたしと聖人のやり取りを見ていたサトル君が、笑いながら言った。