Mind Adventure 25

籬 規那  2008-05-28投稿
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「………」

"唖然と"では、表現が足りない程に、自分が茫然自失状態なのがわかる。




そう。

知っていた。正しくは、調べ廻ったというべきか。


村を出た理由も、それだった。


知られた、という事実と、差別に対する不安に、今にも精神が押し潰されそうになる。




冷静に考えれば、ばらばらにされた妖需らの方が、危険なはずなのに。


痛いほどにわかっているのに。





違う。

分かっているから、本能が邪魔をする。


むざむざ危険な道に入って、痛い目に遭うのなんて馬鹿臭いじゃないか。


やめてしまえ。

逃げてしまえ。


表向きは、明るく笑っていても、きっと、お互い赤の他人だと自覚していたんだから。







「――出るかい?どうせ、警備も薄いし、ディルなら突破できんじゃん?」





一瞬、揺れた。

だけれど、決めたんだ。
もう逃げない、と。









       ‡

「おい!お前!!何をしている!?」

肩を叩かれるままに、妖需は上体を下げ、鳩尾に肘を入れる。

そのまま後ろに回り、頸動脈へ手刀。




人が倒れる音に反応して、新手が来た。

物影に身を滑り込ませ、時期を窺う。



足音が近づいてくる。
かつん、


かつん

後、一歩――。



――かつん


壁を蹴り、自分の最大の起動力で走った。

例の布袋を握った手を、体の動きのままに屠る。



びりびり、と腕に衝撃が走る。

その手応えを目印に、瞬時に次の行動を選択した。



体制を崩した兵士(?)に、今度は、ブラック・ジャックを縦になぐ。


そのまま、両手を地面に付け顔を近付け固定、足を少しの時間差を付けて振り、背後に立っていたもう一人にも、きついのをお見舞いした。



一人ひとりが大した事がないとはいえ、こうも連続だと、体力にも限界がある。


激しい運動に、体中が悲鳴を上げ始めた瞬間。


「ぁぐ……!」

首に、太い腕が絡んできた。不意をつかれたまま、成す術もなく、視界が白んだ。



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