今日も長い一日が終わった。
下校する生徒。冗談を言って、笑い合う生徒。
皆幸せそうだった。
まるで、昨日の撲殺事件はなかったかのようだった。
その学校の生徒の一人、橋本麻里奈は、友達と一緒に下校していた。
「麻里奈、三年の先輩、昨日から行方不明になってるの知ってる?」
「あぁ・・・、知ってるよ。」
麻里奈は、溜息混じりに答えた。
「麻里奈あの先輩と付き合ってたでしょ?」
「え〜付き合ってないよ!たまたま仲良くなっただけだって!」
麻里奈は、笑いながら否定した。
「嘘だ〜」
人気のない通学路に、二人の笑い声が響いた。
そして二人は、麻里奈の家の前で別れた。
バイバーイ!また学校でね〜!
バイバーイ!
ガチャ
バタン
「先輩、居心地はどうですか?」
麻里奈は、倒れている少年に話しかけた。
「・・・・」
しかし、少年は何も答えない。
「すみませんね。内臓、全部出しちゃって。」
その言葉のとおり、少年の内臓は、あらかた掻き出されていた。
「だって・・・、死んだ体には内臓なんていらないでしょ?腐るだけですよ。」
そう言いながら、麻里奈は少年の頭を、膝の上に置いた状態でねかせた。
風は少し冷たくなりかけていた。
もう誰もいなくなった民家へと、少し冷たい風が吹いた。
もう誰もいない・・・・・・・その民家の住人達は、今はアパートの中庭で眠っている。
完