「僕を嫌う羊たちよ、最後にきいておくれ。物事には必ず意味がある。決してそれを忘れてはいけないよ」
羊たちにそう言い残すと羊飼いは一匹の子羊を連れて西の村へ帰っていきました
羊飼いの姿が見えなくなった頃、一匹の羊が言いました
「僕は羊飼いが連れて行ってくれなかった東の森へ行ってみようと思う」
違う羊が言いいました
「私は南の谷へ行ってみたいわ。あそこには綺麗なお花がいっぱい咲いているって鳥さんが言ってたの」
また違う羊が言いました
「わしはあの大きな北の山へ行く。頂上からこの美しい草原を見渡してみたいのでな」
他の羊たちも3匹の意見に賛成し3つのグループに分かれ、それぞれ東へ北へ南へ向かいました
そして3つのグループ全ての羊たちは死んでしまいました
東の森へ向かった羊たちは、狼の群に襲われて食べられてしまい
南の谷へ向かった羊たちは、不安定でもろくなっていた地面が崩れ谷底へ落ちてしまい
北の山へ向かった羊たちは、途中で吹雪にあい凍え死んでしまいました
そして羊たちが後悔しながら死んでいってる頃
西の村の子羊は、温かい小屋の中で小さなあくびをかいていました