「こ・・こにひっこしてきたひと よろしく・・・」
「続けて?」
「ココニヒッコシテキタヒトヨロシク」
「吉本新○劇だったら全員ズッコケたぞ。」
やっぱりダメだった・・・。も〜っ。ここまできたのにぃ。
「んじゃぁ、今度、もう1回、仮名入力にしてやってみるからね。」
「カナ!?カナさんか!!」
「ほら、画面見る。」
あ゛ぁ。不覚。カナさんの事を忘れていたわ。
お兄ちゃんは大人しく画面見てくれてるから良かったけど、
『カナさんがどうかしたのか!?』とかになってたら
また、酷くめんどくさいことになっちゃうからね。
そりゃあもう。
若白髪で髪の毛埋め尽くされちゃうくらいめんどくさいことヨ。
こ こ に ひ っ こ し て き た ひ と よ ろ し く
「ここに引っ越してきた人、よろしく!」
「そうそう。まぁ、仮名入力にして打てばいいだけの事だったんだけどね。
それにしても誰だろ・・・こんな暗号よこしてきたの。」
「やっぱスゲェな!蓮!こんな暗号解いちゃったよ!」
「アハハ。お兄ちゃんがヒントくれたからね。まっいーじゃん解けたんだから。
散歩、行こ。」
「そだなっ!!」
「ちょっと探検行ってくるー!」
「分かったーーー。」
答えたのはお母さんじゃなくてお父さんだった。
お父さんの方がよかったかもしれない。お母さんだと
「ダメダメ!この辺りの事知らないんだから、
ヘンな人にさらわれたりしたら・・・」
ってなる。まぁ、これが本当の親の言うことなんだろうけど、
子供にとっちゃ余計なお世話だ。
お兄ちゃんもいるし、ヘンな人にあってもお兄ちゃんの
全力疾走には絶対だれもついていけないから。
「蓮!いこうぜィ♪」
「はいは〜い。」
穿き慣れた、薄汚れたスニーカーを穿いて、
ドアを開けてくれてるお兄ちゃんを通り過ぎる。
ドアを閉めると、お母さんが顔を出さない間に
ちょっと離れたところまで2人で小走りした。
「おい!」
「!」
「ん?なんだ?」
突然後ろから声が聞こえたからビックリした。
振り返るとそこには。
見覚えのある、男の子がいた。