あれから、半月は経っただろうか。未だ、私は喫茶10に残ってる。香音ちゃんも、関本君も自分たちに家に戻っていった。今は、私と他の子たちだけだ。でも、結構人数は減っている。
それに、結局は喫茶10だけ閉店した。従業員が足りなすぎたんだろうね。それに、お客もほとんど入ってこなかったし。そんなことで赤字になるより、ここにいる子たちにお金は使いたいと思うのが関東さんだもんね。
「羽音ちゃん。」
「はい。」
「ちょっと、外に来てもらえるかな。」
「え?」
私は、関東さんの言う通り外に出た。外には、いつかの車が止まっていた。
「羽・・・音・・・。」
「母さんっ・・・!?」
「よかった・・・・。よかった。」
「でも、なんでくるのよ!帰ってよ!」
「一緒に帰ろ?もう、家にいて。ね。皆でちゃんと暮らそ。」
私は、戸惑った。そして、関東さんを見た。
―――――――――手を振っていた。
「そだね。わかった。家には戻るよ。」
母さんは泣いた。泣きじゃくった。私よりも子供に見えた。
私は、それから学校に戻った。笑顔を取り戻した。いじめとも戦って、勝った。だから、もう苦しくないよ。これも、あの喫茶10のおかげ。もう、あの建物の面影はないけれど、私達の心からは消えないよ。だから、今までのありがとうを言おう。
これからの人生のために―――――――――・・・・。