曖昧me mine;?

そぼろ飯  2008-05-29投稿
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あぁ夏がくる。
重々しかった制服も身軽な夏服に変わる。
日差しは強く、爽やかな風がすり抜ける。
隣を歩くのは嬉し恥ずかし愛しい彼氏……ではなくて小憎たらしい幼なじみ・清太だったりする。

「あのさ、登下校一緒に行くのもう止めない?」
私の言葉に清太は強い否定をこめて首を降った。
「馬鹿か。お前また危ないオヤジに連れ去られたいのか?」
確かに私はそのような体験をした事がありますとも。だけど、それは小学生の時の話である。高校二年生となった今はそんなもの絶対に起きないに等しいだろう。
「佐月は危なっかしいからな」
清太の有無を言わせない否定ぶりで私の意見は取り合ってもらえなかった。
たかだか幼なじみがやりすぎだと思う。せめてもう少しはっきりとした関係になってから。
待て、私は何故清太との関係をはっきりさせたいのだろう?
嫌だ、この気持ちを恋とは呼びたくない。もっと違うなにかに違いない。

「俺さぁ、南先輩に告られたんだよね」
「…あんたの言うことはいつも突然だね」
平然を装ってるけど、私は無性に動揺していた。へんにソワソワ落ち着かないし、脂汗もかき、焦燥感にかられている。
「南先輩ってあのツインテールの?」
「そうそう」
頷く清太の表情からはなんの感情も伺えない。
「で、付き合うの?」
何言ってるんだろう、私は。単なる幼なじみにそんなこと聞く権利ないのに。
「気になる?」
清太が意地悪く笑う。
「いや、別に」
私は素っ気ない素振りをした。
嘘だ。本当は物凄く気になる。
「うーん、南先輩カワイイしなぁ…」
そう言ってデレっとした表情になる清太。

何よ、それ。
ひとの恋路は邪魔するクセに。
あんたは私が好きなんじゃなかったの?
あんたの言う通り私の自意識過剰だったの?
あんたにとって私はやっぱりただの幼なじみだったのか。
私は今何故か腹立たしい気分だ。
理由なんて知りたくない。腹が立って、悲しくて、なんだか胸焼けがする。

知らない。
知ったこっちゃない。
あんたはただの幼なじみだ。
いいじゃないか。これで私は自由に恋愛できる。
なのに私の全身が全然良くないと言っていた。


私は自分の気持ちに気付いてしまった。

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