4月
私は他の人と同じように高校二年生に進級した。
クラス替えもなかなかの強運を発揮した私の隣の席にいたのは
気持ちが悪いほど整った顔立ちの男子生徒だった。
「よろしくね」
近寄りがたい雰囲気をかもしだしているくせに彼は気さくに私に話しかけた。
以外にもバリトンボイスである。
「ああ、うん…」
ここはよろしく、と返した方がよかったのかもしれない。
「僕は中川 惣。君は
?」
「芹沢」
「芹沢…何子ちゃん?」
「芹沢アヤ」
中川惣は満足気に頷いた。
「アヤちゃんかぁ」
アヤは眉をひそめた。馴れ馴れしい、と思った。それにこの男はとても軽そうだ。
それが中川惣との出会いである。