火曜日。
隼人を送る日。
…。
私はお線香の匂いに、溢れ出す涙を抑えて…。
隼人の卒業アルバムの写真の前で手を合わせ…
そっと…目をつぶった。
(隼人…聞こえる…?
華奈だよっ。
昨日、お花屋さんに行って来て
あの花の花言葉を聞いて、
『さよなら』のなかった手紙が、逆になんか隼人らしい別れの手紙に感じたよ。
だから、私も隼人に同じ花を贈ります。
…なんかうまく伝えられないけど…
隼人が手紙に書いてくれたからかな?
隼人がまだそばにいるのかなって思うよ…。
それは、明日電話かけても隼人は出てくれるとか、
メールしたら返信を返してくれるとか、
そういう事じゃなくて…
こうやって目を閉じてると、隼人の顔とか暖かさを思い出して、胸がこう…キュンって…。
私ね、頑張れる気がしてきたよ?
また強がりかもしれないけど、
隼人がここにいるから。
こんな近くに隼人がいるから…。
だからもう…
起きないで。
ずっと私のそばにいてください。
そして私はあの花を、枯らしはしません。
『未来』から来た隼人を 見てきて、その隼人が『過去』になっても何も変わりません。
あなたはずっと…
この花のように…。)
私は隼人から離れるように目を開けて、『未来』へ向かった…。
そして
流れるように10年の時が過ぎ…
〜10年後〜
「ママ、お庭の花…綺麗だね。」
華奈「…うん。『イヌサフラン』っていってね、お母さんの宝物だよ…。」
花
『イヌサフラン』
花言葉
『悔いなき青春』
今もまだここに、
『永遠』の花は咲いていた…。
完