―朝。見るのは霧のかかった記憶。 「機関黒月は、ノータイムの頂点にいる機関よ。」リクが厳しい目付きでアクセルに言う。アクセルは両手に拳を作りながら真剣に聞いていた。「何とか人の形を留めた彼等は、集まり、あるモノを作ろうとしているわ。」アクセルが眉毛を片方上げて首をかしげる。「何?」リクがアクセルを見た。「エンド・メモリー。」アクセルはわけがわからないという顔でリクを見る。リクはクスリと笑った。「エンド・メモリーは、どんな願いも叶える、万能のモノ。まぁ、何のために作るのか、わからないけどね。…けど、エンド・メモリーを作るには、たくさんの人間の時が必要なの。」「時?」 ―ええ、そうよ。多大な時が、必要不可欠なの。 「ぅ……」スカイが起き上がる。生きているのか…と自分の手を見る。横を見ると、そこには…「アンタは…?」黒いマント。そこから伸びる長い白髪。フードでよく見えないが、女性らしい綺麗な顔立ちをしていた。「私を知らないか。だが、こちらはどうだ?」女性が横にずれると、そこには―… 「…ユキ?」 「機関のノータイムは、時が無いものの、大切な記憶から人の形を留めてるの。だから、ノータイムになった記憶は、そのノータイムを消さないと戻らない。」アクセルがハッとした。 じゃあ、俺の思い出せない何かは、それに―… 「…だから、アクセル、行きましょうよ!ね?」リクがアクセルの両手を掴む。アクセルは少々あせった。「あ、で、でもよ!さっきの“話したらなんとか”って…」リクは普通にアクセルを見てにやりと笑う。「ああ、代償。あれは、聞いたら一緒に来る、みたいな…」アクセルの顔が青冷めた。「ハァ!?それじゃあ拒否権ねーじゃね―か!!」アクセルが叫ぶが、リクがアクセルを鋭い目で睨んだ。「んふ?行ってくれるのよね?ね!?」優しく言いながらも手首をギリギリと掴んで来るリクに、アクセルは何も言えない。「あ、はあ、い、行きま…「よし!いい子!」リクがアクセルの頭を撫でる。アクセルは半ば強引に旅に連れてかれる事となったのだ。(笑)