昨日までは気づかなかったけれど、健二は昔、私の店のお客さんだった。
一度しか私は会ってなかったし、会ったと言っても上司と一緒に来てたから部下の健二の顔を思い出す事ができなかった。
でも、その時の事は覚えている。
私にはその時愛する彼がいて、クリスマスの日にその彼からもらった羽の形のネックレスをつけていた。
それを私は上司と健二に言ってしまって、裏に私の本名と、彼の名前が掘ってあるのを見せていた。
その後彼氏と別れた後も、羽のネックレスはつけていた…。
常連の客に、
『そのネックレスってやっぱ彼氏とか?』
と聞かれ、
『うん、でもこの間別れたんだ。』
『じゃあ何でつけてるの?』
『それはぁ〜いつか空を飛びたいからかなッッ』
って…
ただ私は引きずっていただけなのに・・・
それからずっと私は元気がなくて、昨日まで生き甲斐を見つけられなかった…。
そして健二に会った日
私は美容室に行った。きっと健二はあそこの美容師なのだろう…。あの日私はあれから財布を使っていない…
きっと美容室に忘れていったんだろう…。それで彼は免許証に記載された住所を見ながら私の家に渡しにきたんだと思う…。
泣いてる私をみた健二は、その免許証を財布に戻す事を忘れてたんだ…。
でもどうしてここまで詳しく健二の事に気付いたのかって思うでしょ?
それはあの財布から紙切れが落ちた時、
私の本名が書いてあったから…ここ東京で私の本名を知ってるのは、
元彼と、あの時の上司と部下だけ…
私は元彼を追って東京にきたから…
それであの時の部下だと…
…その紙切れには、
こう書かれていた…
つづく