ワーキング・プアからの脱出 7

楽園 海風  2008-06-02投稿
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弁護士の先生に両側を守られるように足早にこの場を後にしましたが、後で会社側の関係者と知って、お二人の弁護士の先生も呆れ顔をしていらっしゃいました。
2004年1月、地方裁判所から自己破産免責決定通知を受け、晴れて復権しました。あれから4年以上が経過しましたが、先述の通り、未だに完全に復権したとは言い難い状況です。とにかく、何でも現金取引で、おかげで自分自身の能力の範囲内でしか生活できず、債務超過に陥ることは決してありません。最近、
『この生活も悪く無いな。』
と、思い始めています。
広く社会に貢献すると言う崇高な精神で経営していた企業が、何故倒産してしまったのか、理解できませんでした。
某OA機器製造会社に入社して初めて自分の間違いを教えて頂きました。この会社の経営理念に、
『全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。』
と、あります。この経営理念を目にした瞬間、全身に電撃を受けるような衝撃を受けました。私に欠けていた物に気付かされました。
私の経営理念には全従業員の物心両面の幸福を追求するという考えは無く、社会に貢献できさえすれば良い、自分たちは日々生活に困らない程度の利益を得られれば良い、清貧である事を良しとする考えがありました。この考え方は忘己利他の考え方で、一見正しいように思えます。しかし、熟慮してみると大きな間違いである事に気付きました。清貧の考え方は確かに会社を基準に考えれば正しい事です。しかし、私自身を基準に考えれば、全従業員に物心両面の幸福を与えていないので利他の精神に反します。
この単純な事が分からず、私自身の個人的な満足が全従業員の満足と思い込み、労働意欲と求心力の低下に気付きませんでした。
『社会が求めれば会社が存続するのでは無く、まず全従業員が求めなければ会社は存続しない。』
この最も単純で、しかし会社にとって最も大切なことを怠ったことが、会社の倒産という最悪の事態を招いたのだと気付きました。
次回、第2章 放心 をご期待下さい。

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