「憶えてたか?ロン毛。」
「ロン毛って。まぁいーわ。何か用?さっき玄関睨んでたじゃん。」
「バカかお前!オレァお前を睨んでたんだ!」
「あのね、今のうちに教えといたげる。私がバカならコイツはなんなんだって。」
私は右手の親指を後ろのお兄ちゃんに向けた。
お兄ちゃんは、ボケッと私とこのチビの会話を見ている。
「ほぉ〜。兄貴か。」
「そうだよ。ってかアンタ、名前は。」
「名前?あぁ、お前この表札読めるか?」
「(ウゼー。マジウゼー。)追風。『おいかぜ』でしょ?」
ここで熱くなったら、見っとも無いな。と思って冷めた表情で言ってやった。
すると、さっきのテンポのまま話を進めてくる。
「そーだ。オレはここに住む追風翔ってんだ。」
ほぉ。結構、順序はいいじゃん。
「オイカゼ ショウ・・ね。」
「お隣さんなのか?」
「あぁ。お前等より前に越してきた。で・・・お前等の名前は。」
偉そうな態度で、
『お前等より先に引っ越してきたんだから、オレの方が偉いんだぞ』
オーラを漂わせる翔ちゃん。
すると、お兄ちゃんが自己紹介をした。
「オレは、嵐山啓!蓮のお兄ちゃんだ!」
「ケイ。だな、分かった。」
「私は嵐山 蓮花。アラシヤマ レンカ。」
「蓮花か。分かった。」
私たちが自己紹介を済ますと、翔ちゃんは口の端をクッとあげ、
ニヤッとした、表情を浮かべた。
「さっきの暗号、解けたか?」
「おう!!蓮が解いたんだ!!スゲェだろ!」
「とっ、解けた!?」
「うん。解けたの。」
翔ちゃんは、
『えぇっ、マジ?そんなのありえねぇっつの!えっ、なんで・・』
みたいな、浮気がばれたアホな男みたいな表情をした。
見てて面白かったけど、なんか笑えなかった。(なんだそりゃ
「ん、んなら・・・なんて書いてあったか言ってみろよ。」
「あっ、それ憶えてんぞ!『っびぜっとぉ〜びーで「ちげぇよ」
「えっ?あってんぞ?翔ちゃん」
「うん、あってるあってる。翔ちゃん」
「翔ちゃんは止めろ!!」
「ロン毛はやめろ。」
「そうだ。ロン毛はやめろ。」
「テメーには関係ねぇだろ!!ジジイ!」
「ジジイはやめィ。」
「クッ・・・」
ここで私たちは、暗号の事を捨て、
まずお互いの読み方を考えることにした。(阿呆
〜続〜