『奈央ちゃん。ドリフトはね‥‥例えば右に曲がる場合なら、コーナーに進入する直前、左に一瞬ハンドルを切って、キッカケを作り、コーナーに進入して、カウンターを当てながら立ち上がって行くんだ。』
『ふ〜ん‥。キッカケにカウントするの?!』
思った言葉をそのまま口にしてしまったあたし。
『ハハハハハ。な‥‥奈央!!‥‥や、止めてくれ!!
腹痛てぇ〜‥‥。
それ以上笑わせたら‥‥‥
マジで怒るからなっっ!!』
あたしが言った言葉に―\r
何故か聖人がかなり受けていた―\r
あたし、そんなに面白いコト言ったかな?!
『‥‥‥ハハハ。奈央ちゃんて‥‥‥。
聖人が好きになったの‥‥俺、分かる様な気がする。』
巧みにハンドル操作をしながら、大沢先輩が言った。
『大沢先輩。ダメっスよ。いくら先輩でも奈央だけは誰にも渡しません。』
後ろをチラッと振り返ったあたしに、
聖人がバチンッ☆と、ウィンクでの合図。
ドキッ―――\r
『分かってるって聖人。聖人も奈央ちゃんも、俺と新谷にとっちゃ、可愛い弟と妹みたいなもんだ。
俺達は、お前達二人の幸せ願ってるぜ。』
そう言った大沢先輩の横顔は、何だかさっきの軟派なイメージとは違って見えた。