2008年春。横浜。
彼は、静岡富士の麓より人生初の単身赴任を経験する事となった。赤字続きで崩壊寸前の営業所の再建の命を請け、ここ数年の間にトップ営業マンでありながらチーム全員と新規営業所を社内一へ牽引した実績を評価されて。
期限は2年。
目標を達成しなければ、所員全員が生活を失う。
彼の指揮のもと、以下6名新体制となって二ヶ月が経過した。
メンバーは焦燥し、停滞した空気が続く。腐敗が始まっている。
彼は若干32歳、見た目と年齢の割に辛抱強い彼も、ここ数日は弱音が喉元まで出かかっている。
「今日より明日へ」彼は壁にあたると、心の中でつぶやき始める。
この物語は、ある大手住宅メーカーの名もないリーダーの平凡ながら小さな革命を描く、現在進行形のドキュメントである。