お伽話・第一話「狼と七匹の子ヤギ2」

黄粉  2008-06-03投稿
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二人は、やっと大量の肉を食べ終えた。

「純太〜、すごい美味しかったね〜」

上機嫌な麻美は、窓から外を眺めながら言った。

しかし、返事がない。

純太は眠っていた。

「寝てるし・・・」

麻美は呆れた口調で言った。

起こそうとはしたものの、すっかり眠りの国に落ちた純太は、起きることはなかった。

麻美は仕方なく、一人で片付けに取り掛かることにした。

「汚い・・・」

焼肉の残骸を見て、片付ける気が失せた。油は洗うのが大変だからなぁ・・・

「仕方ないなぁ・・・洗ってあげよう。」

独り言を言いながら、渋々鉄板をキッチンに運ぼうとしたその時、

「ん?洗剤は?」

洗剤を探すが、見当たらない。

見つけたが、空っぽだった。

「うわ〜・・・こいつどうやって生活してるの?」

野蛮な純太の生活に、すっかり呆れてしまった。

しょうがないので、麻美はスーパーに買いに行くことにした。

「は〜・・・」

溜め息をつき、アパートを出ると、

あれ・・・?






白い・・・毛?角がある・・・

少し近付いてみると、ヤギの着ぐるみだということが分かった。

「置いてあるのかな?」

しかし、ヤギは瞬きをした。






え?




そう。





アレはヤギの着ぐるみなんかじゃない。




ヤギだった。昔の外国人が着ていたような、ドレスを着て・・・




バタンッ





何故か、麻美は部屋に戻っていた。

「・・・・な」

しかし、言葉がなかなか出てこない。

なに、アレ?

おかしいよ。

だって着ぐるみは、瞬きなんかしないし・・・。






どうしてハサミなんか持ってるの?





まるでお伽話の「狼と七匹の子ヤギ」の母ヤギみたいじゃない・・・






なんで?なんであんな単純なモノが怖いの?

ハロウィーンじゃあるまいし・・・

きっと、マニアのコスプレだよね、うん。

ただ、ちょっとよく出来すぎた着ぐるみだよ・・・ね・・・。



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