『話くらい聞いてやれば?』
ふと、違和感を覚える。
「…気になったんだけど、あんた何で梓の肩持つの?小遣い貰ったとか、そんなんじゃないでしょうね」
『貰ってねーし!ただ、梓さんは昔から知ってるし、兄貴みたいなもんだからよ』
兄貴みたいなもんか…。
そういや、充の事可愛がってくれてたもんね。
梓、一人っ子だから弟に欲しいって言ってた。
…そんな事もあったのにね。
『おい、聞いてんのか!?』
電話の向こうで充が呼んでいるのに気付き、我に返った。
「お姉ちゃんに、おいって何よ??偉そうに!昔はそんな事なかったのに。そーよ、高校入る前はおとなしい良い子だったのにさぁ。何なのその言い方!?だいたい…」
『あぁ、うっせぇ…』
止まらない私にめんどくさそうな声を出す充。
『…とにかく、ちゃんと話せよ』
…
そう言って一方的に電話は切れた。
(なんなのよ、アイツ)
「何であんたが気にしてんだっつーの!」
一人、携帯に向けて叫んだ。