お伽話・第一話「狼と七匹の子ヤギ3」

黄粉  2008-06-04投稿
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まだいる・・・?

麻美は、窓からアパートの向かいにいるヤギを見下ろした。

相変わらずヤギは地味な色のドレスを着て、真っ直ぐ前を向いている。

「なんなの?だれかのコスプレ?」

麻美は不思議に思った。だが、不思議よりも恐怖の方が大きかった。

単純なモノなのに恐ろしい・・・

何が怖いよ・・・ただの着ぐるみじゃん。

恐怖を押し潰し、麻美は注意しようと外に出た。

ガタガタガタッ

階段を下り、ヤギのいるほうへ。

「あの、そんな着ぐるみ姿でいられたら困るんですけど。他でやってください。」

きつい口調で言った。

しかし、ヤギは答えない。

「ねぇ!聞いてますか!?」

麻美は、着ぐるみの首にあたるところをはずそうとした。

だが、取れない。

「いい加減にしてよ!」

後ろのチャックを調べようとしたが、チャックすらない。

「え・・・」

まさか、このヤギは・・・着ぐるみじゃない?

本物の・・・

「ひ・・・」

麻美は、恐ろしくて座り込んでしまった。

その時、ヤギがこちらを向いた。

「私の坊や・・・坊やはどこ・・・?狼に食べられてしまったの?」

怯えた様子で麻美に近づく。

「狼さん・・・坊やを返して・・・」

ヤギは、麻美の服を掴むと、持っていた大きなハサミで麻美の腹を切ろうとした。

「いやあぁぁーー!!」

麻美は暴れ、ヤギの手から逃れた。

それと同時にアパートへ、無我夢中で走った。




後ろからは、ヤギのヒヅメが鉄の階段を削る音がする。


しかし、麻美は訳が分からなかった。狼とは誰か、何故ヤギが自分を襲うのか。



鍵をかけようとしたが、鍵が壊れていることに気付いた。

麻美は今日、純太の家に来た事を後悔した。

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