僕は君の未来を永遠(トワ)に。<30>

麻呂  2008-06-05投稿
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『未來こそ休んじゃえば?!会社。』



悪戯っぽくそう言って、彼女は笑った。


『僕、一度家に帰るね。もしかしたら遅刻するかもしれないけど、部長に怒鳴られるのは慣れてるし。』



洗面台で顔を洗い、急いで歯を磨く。



『マジで?!スーツだったら、店が開店したら買えばいいじゃん。

その代り、遅刻は免れないけど。』



ベッドの中で寝ていた彼女は、上半身だけ起き上がらせた。


『いや。午後からの会議の資料も、家に持ち帰ってたのを忘れてた。やっぱり帰らないとマズいんだ。』



そうだ。こんな呑気に話している時間は僕には無いのだ。





『未來急いで!!
札幌駅六時十二分発小樽行き、間に合うかもよ!!』



焦っている僕に、彼女は落ち着いて、携帯サイトで電車の時刻を調べてくれた。


『そ、それじゃ、エリカちゃん。

具合が悪いなら無理はしないでね!!

昨日は楽しかった。
僕こそありがとう!!』



慌てているので、言葉がぐちゃぐちゃだった。



『未來!!これ、あたしのアドレスと携番。これに空メールして。また一緒にカラオケ行こうよね!!』



そう言って、彼女は小さなピンクのメモ帳を僕に手渡してくれた。



『あ、ありがとう!!必ずするから!!』



電車に乗り遅れる訳には行かない!!



その後の電車は四十分後だから。



僕は、ホテルの代金を彼女に渡し、



慌ててドアを開け掛けたその時―\r



『未來!!待って!!』



彼女が僕を呼び止める。





『ジーンズのファスナー‥‥開いてるよ。』



最後までカッコ悪い僕。



けれど十七年ぶりにエリカちゃんと再会出来て――



おまけに楽しい時間を過ごせた昨日の事が、



まるで夢のようで――



僕にとって、最高にハッピーな一日だった――



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