麻美は、ドアを思い切る閉めた。
「純太!起きて!!私達ヤギに殺されちゃう!!」
麻美は叫んだ。その時、ドアノブが下に下がり、扉が開いた。
「いやああぁっ!!」
麻美の叫び声で、純太は目を覚ました。
「どうした!?」
目覚めた純太の目の前には、恐怖に顔を歪め、床に座り込んでいる麻美と、ドレスを着て二本足で立ったヤギがいた。
まるで童話に出てくるような格好をした・・・
「麻美・・・、何、こいつ・・・」
純太は震えながら問い掛けた。
しかし、麻美は座り込んだまま金縛りになったかのように動かなかった。
「麻美危ない!!」
その時、麻美の目の前を、大きなハサミのようなモノがかすった。
麻美は鋭い叫び声をあげた。
しかし、叫びは長くは続かなかった。
純太は目を疑った。ヤギが麻美の腹の中を探っていたのだ。
「坊や・・・坊や・・・いない・・・」
ヤギは、腹の中のモノを全て外に出し、何かを探していた。
「坊や・・・いたわ・・・」
ズルッ!
「・・・・!!!」
なんと麻美の腹から、ヤギの子供らしき生き物が四体ほど出てきたのだ。
どうなっているんだ?何故腹の中からヤギが・・・・?
血に染まったたヤギが、純太の方を向いた。
あと三人・・・
確かにそう言った。
あと三匹?
「うあああああぁ!!」
純太はアパートを飛び出し、ただ走った。
純太は見ていなかったが、麻美の死体は四体の子ヤギによって、跡形もなく食いつくされたのだった。