君が死んでから一体どれだけの時間がたった?
いや、時間は少しも進んではいない。
僕らの時間は止まったままだ。
あの日、君が狂った地球の蛆虫共の凶弾に倒れてから、僕は生きる希望を破壊にしか見いだせなくなった。
美しい肉体を傷つけ、生命を奪った地球の奴等は焼き尽くしてやった。
レイチュル、愛している。
「閣下、閣下。お休みになられるなら部屋のベッドをお使い下さい」
秘書に肩を揺すられ、やっと自分が寝入っていた事に気付いた。
「ああ、すまない。大丈夫だ。次のスケジュールは何だったかな」
「はい。中国の劉猛起大使との非公式会合がハニーデュー・レストランで行われます」
「そうだった」
どうも地球の奴というのは、おめでたい連中が多い。
意志が弱く、自分よりも相手が強いと見るや、まるで発情期の犬のように尻尾をふる。
今回の会合で、中国の駐在大使が並べるであろう歯の浮くような言葉の数々を想像して、エドワードは身震いした。
「これも君の為に起こした戦争だよ、レイチュル。一緒に……とはいかないが、君も見ているといい。ショーのフィナーレはもうすぐだ」
コートを羽織り、部屋を出る彼の背中を、レイチュルが押しているようだった。