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長い一日が終わった――
その日、仕事が終わると僕は、何とも言葉にし難い体の疲労感と、
それに相反する気分の高揚感に襲われた。
恐らくは、僕の体内には大量のアドレナリンが放出されているに違いない。
それにしても、昨日から超ハードな時間を過ごしてるよな―\r
そのハードなトキの流れは昨日、オーディションを受けたトキから、今日の正午過ぎまで続いた訳だが、
ピークはいつもの通り、部長のカミナリが僕に落ちた瞬間だった。
なんてったって、朝から遅刻、おまけに会議の資料を無くしましたときたもんだから、
その怒鳴り声は、何時もに増して迫力があった。
挙げ句の果てに、昨夜の寝不足が祟っての会議での居眠り。
これには部長もかなり呆れ顔だった。
そもそも、オーディションに応募したのは、僕のほんの気紛れからだった筈。
ほんの気紛れでオーディションに応募してしまったコトによって、
彼女と十七年ぶりに再会出来たのだから、
今回ばかりは、僕をこんな適当な性格に産み、育ててくれた両親に感謝するべきだろう。
今朝、彼女から手渡されたピンク色の紙――
手渡され時は、急いでいたから思わずあっさりと受け取ってしまったけれど、
これって、“トモダチ”として、これからも君と交流を持てると言う事なのかな。
君って罪なヒトだよね。
本当の僕のキモチも知らないで。
君は――
僕がずっと押し殺して生きて来た十七年間の君への思いを、
いとも簡単に思い出させてくれたね。
なんて罪なヒト――
十七年経って、とても美しく成長した君と、
十七年経っても、未だダサイままの僕――
滑稽だよね。
何時か――
何時か君と再会出来る日が来たら――
その時は、カッコイイ僕で有りたいって、
ずっと思っていたのにさ――
柄にもなく、物思いに耽ながら、
僕は、何時もの電車に乗り込んだ――