二人は同時に己の持つ闇の力を放出し、剣を振り上げていった。
「エルダスの町は…よし、こっちだな」
セイルは太陽の方角を確認し、歩き始めた。
サリア、エミリア、ミリスもそれに続いた。
「…」
ふっ、と、エミリアは後ろを振り返って、エリグラム砦を見つめた。
ロザラム…―\r
エミリアは一瞬、憂いの表情を浮かべたが、すぐに元の表情に戻って、前を向いた。
姉さん…―\r
ミリスはエミリアの様子を見て、目を閉じて小さく息を吐いた。
「どうしたの、あなたたち?」
サリアは二人を不思議そうな顔で見つめていた。
「何でもないのよ。母さん」
「え、ええ…」
「…」
三人の会話を前で聞いていたセイルは、ちらりと後ろを振り返った。
お前達は、ロザラムの事を知っていたのか?―\r
ロザラムの存在を知ってから、そう問いかけようかと何度も思ったが、
聞いてもはぐらかせるだけか…―\r
と、そう思う度に諦めてしまっていた。
特にエミリアは仲が良かったからな…懐かしいな、あの頃三人はいつも一緒だった―\r
セイルは前を向いて、どこまでも広がる青空を見つめていた。
「いや…四人か…」
セイルのその小さな言葉は、青空を飛び交う鳥達の鳴き声にかき消されてしまった。