お伽話・第一話「狼と七匹の子ヤギ5」

黄粉  2008-06-08投稿
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はぁ、はぁ・・・

もうどれくらい走った?

純太は、暗い住宅街を夢中で走り抜けていた。

「麻美・・・」

そう呟き、足を止めた。

麻美・・・・・

未だに麻美が死んだのが信じられなかった。

思い出したくもないが、あのヤギに殺された。

確かに、腹を開かれて。

「俺はあんなになりたくない・・・!」

その時だった。

ガリ・・・

純太の体は固まった。

なんの音?

ガリガリガリ・・・

後を向けば、いたのは間違いなくドレスをまとったヤギだった。この音は、ヤギの蹄を引きずる音だったらしい。

「・・・あぁっ!」

純太は驚愕に動けなくなった。しかも、ヤギの足元には子供らしき、幼稚園児くらいの背丈の子ヤギ達が四体ひしめいていた。

「ミィツケタ・・・・・・早く私の坊や達を返してくださいな・・・・狼さん。」

ヤギは笑わない。

だが、今目の前にいるヤギは口の端を吊り上げて笑っている。人間のように。

「いやだ・・・」

迫り来るヤギから逃げようとするが、うまく足が動かない。

「誰か・・・誰かあぁ!!」

叫ぶが、誰も来なかった。

なんで俺がこんな目に・・・・

俺は何もしてない・・・。









純太は、走って走って、ついにヤギのいない場所まで逃げた。

「・・・やった。」

そういい、純太はガッツポーズを決めた。

これからどうするか・・・。

「まぁ友達の家にでも行くかな。」

携帯を取り出した、時だった。





液晶画面に写った自分。










その後にヤギが写っていた。









「ひぃ・・・・!」










そして純太は意識を失った。

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