いったいあの首はいつも夢に出てきて俺に何をしたいのだろうか!?
予測しても何一つカスりもしない。
ある日から夢の中でその首に色々な問いかけをした。
「何故俺の夢の中に出てくるのですか?」とか「何か知らせたいからですか?」など夢のなかだがあらゆる事を聞いてみた。
だがその首は何も答えず、最終的には俺から遠退いて遥か向こうに流れるように消えるのだ。
追いかけても当たりまえだが追い着く訳がない。
そして首が消えたと同時にいつも目が覚める。
流石に心配に心配が積み重なって、近くに有名なお寺があるからみてもらおうと行く事にした。
あらゆる儀式的な事をしてあの首を成仏させてあげたいと願いつつ、真剣にとりおこなった。
結果はお寺の高僧さんに知らされた。
まず何処でその首に憑かれたかと言うことだ。
それは家族旅行の帰り道に通った山で目をつけられたらしい。
俺には一切心辺りなかった。
そして夢に出てきた理由は明かされ無かった。
「何故ですか?」と何度も聞いたが高僧さんは一切口を閉じたままだった。
けど俺は不安が限界に達していたから退き下がら無かった。
あまりの俺のしつこさに高僧さんは俺に重い口を開けてこう言った、「理由は知らない方がいい。もし知ろうと思いますれば・・・分かりますな。だがあの首の御方の霊体はしっかりと供養致しましたのでご安心くだされ。」と言った。
その時のお寺の高僧さんの目は冗談混じりに話しているような目では無かった為こっちかスッと身を引かざるをえなかった。
しばらくしてお礼をしたのちお寺を後にした。
高僧さんに深く注意を押し付けられてだ。
《何を言われたかは残念ですが失せておきます。》
そして家に帰ってからはボーッと一人でお寺での事を考えていた。
晩飯を終え、風呂に入り、そして就寝時間が近づく。
今日はしっかりあの首の人を供養してもらったんだ、今日から夢に出てくる筈が無い!!とビビる自分を無理に奮い立たせ眠りにつく事にした。
フッと目が覚めた。窓からカーテン越しにとっても明るい明かりが部屋一面を明るく染めあげていた。
久し振りに綺麗で清々しい朝を見た。
それからと言うもの毎日夢も見ずに気持ち良く寝ることが出来るようになった。
あの首はちゃんと成仏出来たんだと心から安心して。
【】完【】