「ここは君たちの家だからいつでも帰ってきなさい」この言葉は毎年、吹奏楽部の部室で大川先生が中学を卒業する部員に送る言葉だ俺は卒業後、吹奏楽部のOBバンドで楽団長をしてる
みんなマイペースに集まりゆるゆるな楽団生活を送っていた。
あの日までは‥。
俺の親友山本慎一が骨折をした酒で酔っ払って、いつもやらない腹筋を百回して肋骨2本と足の甲を骨折という普通あり得ない骨折だ「あ‥。名前書くの忘れた。」
大学の友人から(俺も含め)見舞いの色紙に名前を書く。
「松崎孝一っと‥。」
山本は楽団の副団長で細かい事にすぐ気付く‥。
とゆーか俺がいつも何か抜けてる?
廊下で大川先生の孫、太郎が一人で絵本を読んでる。大川先生の一人娘の理音さんと楽団で一つ歳上の太田先輩の子供だ。お腹に居た時からの友達だ。
「よっ太郎!」
「しぃーよ孝たん」
いつもバカ面の太郎が真剣な顔だ‥。
外科の診察室から理音さんの声がする。
「余命半年って父になんて伝えれば良いのよ‥。」
俺はしばらくその場で、ボー然と立っていた。
その時の記憶は、ほとんどない。
ただ「先生の余命が半年」という言葉だけ覚えてる。そして、ドアのノブが動いたので、ダッシュでその場から去った。