『おい。早く帰らねぇと、この辺一帯住宅街だろ?!ポリ公よく巡回してんだ。早く行くぜ!!』
新谷先輩のその一言で、あたし達は、解散した――
そうそう――
帰りの車の中で、新谷先輩があたしにこんな事を言ってくれたっけ――
『奈央ちゃん。聖人はな、見た目ツッパッてカッコつけてるけど、中身はすげぇイイヤツだから。
俺が保証する。』
『はい。』
あたしが返事をしたとほぼ同時に、
『新谷先輩。もういいっスよ。』
聖人がちょっと、アンニュイな口調で言った。
『おい聖人。さっき、サトルも言ってたけど、お前と奈央ちゃん、
俺もお似合いだと思ってるぜ。』
その言葉が心に強く響いた―\r
ねぇ聖人―\r
あたしね―\r
今夜、新谷先輩がそう言ってくれたコトと、
今夜、今まであたしの知らなかったあなたの世界を見れたコトで、
少しだけ、今までより自信がついた様な気がするの。
今夜のコトは、あたし一生忘れないよ。
この先、何年経っても――
ずっとずっと、忘れるコトなく、あたしの心の引き出しの中にしまっておくね。
シンデレラの魔法は十二時で解けてしまったけれど――
聖人にかけてもらった魔法は、一生解けないって―\r
あたしね、今でもずっと信じてるんだ。
あなたのお陰であたしはココにいる。
あなたと知り合えたからココにいる。
あなたと知り合えたトキからココにいる。
あなたと知り合えたコト―\r
あたしは、ずっとずっと、誇りに思っているよ‥‥‥。