ロバートはリリーが消えていった場所を見つめながら、安堵の表情で呟いた。
「貴様…よくも余計な事をしてくれたな…」
吹き飛ばされた所から戻ってきたロザラムは、怒りの表情で、剣の切っ先に巨大な闇の塊を出現させた。
「…」
ロバートは一つ小さく息を吐くと、ロザラムの真正面に立って、静かに目を閉じた。
「メガボルト!!」
ロザラムの言葉と同時に、闇の塊から無数の電流がロバートを襲った。
ロバートはその電流の直撃を受け、すぐに息絶えてしまった。
「…くそっ!」
ロザラムはロバートの安らかな死顔を忌ま忌ましげに見つめながら、剣を瓦礫に叩きつけた。
焼き殺してやろうと思ったが…それをすれば、また後から行われる確認作業で疑念を抱かれる恐れがある…―\r
髪をがしがしと掻きながら、ロザラムは表情を歪ませて、歯を噛み締めた。
奴はあの三人を何処に送ったんだ?…まてよ、確か、こいつは王宮護衛騎士だと言っていたな…―\r
その考えに至った瞬間、ロザラムは青ざめた顔で、王宮のある方角に目を向けた。
「いや、例えあの三人がこれまでの経緯を話したとしても…」
ロザラムは首を横に振ると、冷たい笑みを浮かべて、ゆっくりと剣を鞘に収めた。