「行ってきまーす」
二人の子供、長男のまさはる、次男のまさよしが勢いよく家を飛び出して行く。 「行ってらっしゃい!」 私は朝食の片付けをしながら応えた。
「……!」
寝室で妻も子供逹に応えたようだ。
断わっておくが妻は寝ているのではなく、本人に言わせれば決してぐうたらで起きないのではなく、病気のせいで起き上がれなく仕方がないそうだ。
私は片付けも終わり、出勤の仕度をして妻に声を掛ける為に寝室を覗いた。
「…」
寝ている様にしか見えないが!
私は玄関の扉を閉めて片道一時間の職場への道のりに思いを巡らした。
満員電車の中、妻と同世代の女性を見掛けると、つい一年前は同じように仕事をしていた妻の事を考えてしまう。
東京で生まれ育ち暮らしてきた妻を、私の都合で大阪に住み、そこで生活しなければならない妻にとって、