｢ただいま｣
ﾚｰｳﾞｪはハルの声がしたので玄関先に足を運んだ。
｢おかえりなさい｣
｢何してたの？｣
ﾚｰｳﾞｪの姿を見てハルは言った。
｢掃除をしてました｣
｢ありがと、ﾚｰｳﾞｪ｣
｢いえ、僕にはこんなことくらいしかできないんで･･･｡すみません｣
一緒に住まわせてもらっているのにハルにちゃんとした恩返しをしてやれないことがﾚｰｳﾞｪの心を痛めていた。
｢なんで謝るのよ｣
｢住まわせてもらってるのにちゃんとしたお返しが僕にはできないので････｣
｢お返しなんていいのよ｡かわいい弟ができたみたいで嬉しいし、一人じゃなくなったしね｣
そのハルの言葉を聞いてﾚｰｳﾞｪは安心した。自分は邪魔な奴じゃないと少しでも思えた。
｢ﾚｰｳﾞｪ、起きてる？｣
夜、隣で寝ていたハルが自分に話しかけてきた。
｢･････｣
ﾚｰｳﾞｪは起きていたがなんだか寝たふりをしていた方がいいかなと思った。
｢あのね、私、王都にいこうと思ってるの。お父さんの真実を知りたいから｣
｢･････｣
｢長い旅になるだろうし村の外には魔物もいるから私一人で行くつもり｣
ﾚｰｳﾞｪは驚いた。危険だからこそ自分と一緒について来てと言うのだろうと思っていた。
｢短かったけど今までありがとう｣
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