ボクは子供の頃から、自然と一体になって一人で生きていきたいという思いがあった。
日が昇ったら目を覚まし、腹が減れば、自分で栽培した野菜や飼育した家畜を食べ、日が暮れたら眠る。
世の中のしがらみから解放され、自分の命のためだけに生活し、生き、死ぬ。
社会人となって、人間関係や様々なストレスを溜め込みながら、お金を稼ぐために毎日を生きる生活に比べ、なんて幸福な人生を送れることか!
夢の実現のため、高校は農業専門校の畜産科を選び、栽培、家畜飼育等の知識と経験を積んだ。
実行する前に大学に進学、親元から離れ下宿することで、バレずに準備を進めた。バイトで資金も稼いだ。
2003年1月27日。
カノジョを呼び、理解されないことを承知で自分の考えを伝える。
カノジョは泣いていた。
泣きながら、それがボクの夢なら止められないと言った。
本当にダメなのは、ボクの方だった。
夜中、大きなリュックを背負って部屋を出る。
アパートの下まで降りて、カノジョと抱き合った。
「絶対に、忘れない。」
手が離れ、ボクは歩き出した。
涙が止まらなかった。つづく