どうしたらいいの?
アズサの言葉に、香月は頭を巡らせ考えた。
コンビニで四人が一緒にいるところを見られているし、防犯カメラにも映っている…。
考えたい!もっと、落ち着いて。
でも隣にさっきまで笑っていた雅也が死体になって、今アズサが…1番大事な友達が「殺人者」としてここにいる。
どうして?
なんでこんなことに…。
アズサも同じ思いなのか悲痛な顔で座り込んでいる。
「わたし、自首する」
「馬鹿いうな!雅也まで失って…お前まで失ってたまるかよ」
亮の言葉に、また一粒涙アズサの目から零れた。
香月はしばらく黙ってアズサを窺っていた。
ほんの僅かだが落ち着きを取り戻しているみたいだ。
「ねぇ、香月…もうわたしとり憑かれてないのかな…もしかしてまたあんなこと…」
香月は首を振った。
「ごめん…正直、解らない。あんたが解らないのように私たちだって何も言えない」
亮はアズサを立ち上がらせた。
「とにかく、雅也のとこに戻ろう…あいつをどうにかしなきゃな」
その言葉に香月はゾクッと震えた。
どうにかする。
死体を処理する…。
この会話は本当なの?
夢なら醒めてよ!
三人は部屋を出て、亮は躊躇いなく雅也の待つ部屋に行った。
そして。
三人はア然として立ち尽くした。
雅也の死体は忽然と消えていた。
大量の血痕を残して。
血の足跡が、部屋から出て行ったと証明するかのようにハッキリと床を汚している。
それは真っすぐ戸口へ向かっていた…。
香月は自分でも驚くくらい大きな声で言った。
目まぐるしい勢いで頭はパンクしそうだった。
「どういうこと?雅也は生きてる…?」
亮が突き出した手を所在なげに額に持っていく。頭痛がしているみたいに
「わからねえよ!なんなんだよ…なんでいないんだよ」
「雅也…死んでないの?生きてるの?」
アズサの声に微かな希望宿る。
「かもしれない…けどだったら早く捜さなきゃ。あの傷じゃ手遅れになるよ?」
アズサは強く頷く。
「うん。早く捜そう。二手に別れる?」
三人はハッとして目線を絡ませた。
アズサを一人には出来ない。
かといって、この広い病院内を捜すには別れた方がいいのは明白。
なんといっても雅也は一刻を争う傷を負っているのだから。
「亮…亮はあたしと一緒にいて。そしたらあたしがまたおかしくなっても止められるでしょ?」