優子は、橋本の部屋に飛び込んだ。
「麻里奈、いる!?外に変な人が・・・!」
・・・・!!
臭い、生臭い!
まるで生肉が腐ったような・・・
「麻里奈ぁ・・・?」
涙目になりながら、優子は部屋の奥へと向かった。
「・・・・!!」
そこには先週から行方不明になっていた、田口裕也の死体があった。
「あ、あぁ!」
吐き気を堪えながら優子は無我夢中で外へ走った。
「いやああぁっ!」
バンッ!
優子は、膝を抱えてうずくまってしまった。
「だから行かない方がよかったでしょ?」
上からまた同じ声がした。
「うぅ・・・一体なんなの?」
相手は年上にも関わらず、悲しさと恐ろしさに敬語をつかうことを忘れていた。
「優子ちゃん、だよね?」
優子はビクッとなった。
なんで私の名前を知っているの?
なんで麻里奈の部屋に入るなって警告できるの・・・?
嫌だ・・・まさか、麻里奈はこの人に・・・田口先輩も、殺されたんだ・・・!
「まぁ、落ち着こ。あ、ファミレスでもいこっか。」
男は優子の腕を上から引っ張った。
「やだ・・・」
優子は男の腕を振り払おうとしたが、
「橋本麻里奈サンは生きているよ?」
そう言われ、力が抜けてしまった。
「じゃ、行こう!」
グイッ
「待って!私学校帰りなんですけど!?」
優子の言葉にも関わらず、男はズカズカと優子を引きながら、ファミレスへと向かっていった。
ファミレスの中は、ガヤガヤと騒がしい。
「あの・・・どうして麻里奈のことを知っているんですか?」
不安せうに問う優子に対して、男はオレンジジュースをストローで混ぜながら答えた。
「昔からの付き合いってやつだよ。」
それだけ答えてオレンジジュースを飲んだ。
「・・・」
ズルルルル・・・
優子は、バックから、橋本と撮ったプリクラが貼ってある手帳を取り出した。
「あなたが言っている橋本麻里奈は、この子ですか?」
男はプリクラを見ずに、「うん」と答えた。
優子は、ソファーにもたれながら、橋本が今どこにいるのか考えていた。