少し気になった。レーヴェはこの村に来てまだそんなにたっていない。ダルクと秘密を共有するなどあるのだろうか。
「なんか嫌だな」
ハルはつぶやいた。
「ハルを頼む」
「はい、もちろんです」
ダルクがレーヴェとだけ話したいのは理由がある。それはレーヴェがサルナン人だからだ。サルナン人はアース人よりも身体能力が高い。つまりアース人よりはるかに強いのだ。
「ハルは弱くはないが、それでも魔物相手では勝てないだろう」
つまり守ってほしいのだろう。しかしサルナン人だとばれるのは避けたいので特殊能力は使えないということになる。
「分かりました。ではそろそろ・・・」
「ああ、気をつけて行ってきなさい」
「失礼しました」
そう言うとレーヴェはダルクの家を出てハルのもとへ向かった。
刀を腰につけハルはレーヴェを待っていた。
「レーヴェ、早くしなよ」
今日でこの村としばらくお別れになる。レーヴェにとっては短い間でしかなかったが、ハルはこの村で生きてきた。
(それでもハルさんは行くって決めたんだ)
レーヴェはこの先何があってもハルだけは守ると決めた。自分の命の恩人を・・・。
「さ、行きますか」
二人の旅が始まった。