「はい、じゃあ今日のお題は『懐かしい遊び』です。小学校限定とさせていただきます」
司会は自称会長の元放送部、木坂洋一。
「小学校か…限定し過ぎじゃね?」
元サッカー部の門脇太一は頬杖をつきどうでもいいお題について真剣に考え始めた。
……………
「はい、僕良いですか?」
そう言って遠慮がちに手を上げたのは帰宅部の山田次郎、通称『ジミロウ』。
木坂がどうぞと言うとこれまた遠慮がちに立ち上がる。
「え〜、僕が小学校のときにはまっていた遊びは…『牛乳のフタ集め』です…!」
元々静かな教室が一層静けさが増した。
「地味か!早速やってくれるじゃねぇかジミロウ!」
帰宅部不良の松沢祐介がジミロウにがっつく。
「お前それフタ集めてどうすんだよ!?」
おどおどするジミロウは何とも痛々しい…
「え〜と…集めたフタをノリでくっつけて…」
「で!?それで!?」
さらに食いつく松沢
「え…と、そ、それだけです…」
そう言うとジミロウは力無く席についた。
「意味わかんねぇ!何の意味あんだよそれは!」
松沢は完全に興醒めした様子だ。
松沢の勢いに耐えかねたのかジミロウは何とか言葉を喉の奥から絞り出した。
「…何というか…苦労して集めたフタを…1つにまとめる感じ、あの感じです!ほら!カニとか身を全部削いでから食べるでしょ!その感じですよ!」
急にまた立ち上がりさっきのジミロウとは別人のように語り始めた。全員引くくらいの熱すぎる語りだ。
「ね!松沢君もやったことあるでしょ!?フタ集め!」
顔と顔が接触するくらいに詰め寄るジミロウ。
「…近ぇよ!…てか俺んとこ牛乳パックだし!」
松沢はジミロウを突き飛ばした。が、それでもジミロウはジリジリと顔を近づけてきた。
松沢は何とも言えない恐怖を感じた。
「ちょ…!止めろ木坂ぁー!中断だ!中断!」
つづく…